「じゃあ、行ってくるから」
先日、息子が久しぶりに舞台に出た。
彼はヨチヨチ歩きの頃から時々舞台に出していただいている。
もうずいぶん背丈も大きくなってきたので、
子役で使っていただけるのももう少しだろうなと思う。
小さい頃は楽屋でもつきっきりで、飽きてしまわないようにと出番が近くなるまで
食堂で一緒に時間を過ごしたりしていた。
けれども最近は楽屋での大人の皆さんのやりとりを見るのも楽しいようで
私がいなくても平気になった。
出番が近くなってくると自分から「じゃあ、行ってくるから」と、
いつもと少しだけ違う感じで背を向けて、本当に行ってしまう。
残された私は、
「行ってらっしゃい」
と、見送ることしかできない。
舞台に出てきた息子はというと、いつもどおり、とても落ち着いて役目を果たす。
よくよく考えてみたら、何百人もの初めて出会う方たちの前で
いつも平常心でいられるのはすごいことだ。
普段息子には多少子どもらしくないところがあったりして
イラッとしてしまうこともあるのだけど、
小さい頃から大人に囲まれてきたのだし
それは仕方ないことなのかもしれない。
私が子供の時とは全く違う環境で育つ息子を羨ましいと思うこともあるし
大変だろうなと思うこともある。
けれども、結局のところ、彼は彼の人生を生きて行く。
そして、私は私の人生を生きて行くのだ。
子どもと毎日べったりと一緒に過ごしていた日々が
あっという間に終わりに近づき、なんだか感慨深い。
あの息子との濃い〜毎日がとっても懐かしい。
もう一度同じことができるのならば、きっと喜んでする。
そしたら、あのときはイライラしちゃったことも、
もう少し落ち着いて楽しくできるような気がする。
そう考えると子供が1人しかいないのは
なんとももったいなく、残念な気もするけれど
それも仕方ない。
これからは周りにいるお子さんたちに
同じような愛情を注いでいければいいなと思う。
もちろん、大きくなった息子にも、ずっと、ずっと愛情を注いでいこう。
そんな気持ちにさせてくれた息子に、
生まれてきてくれて本当にありがとうと思っている。
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